【中国物権法 各則(1)所有権】


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Q1 今回は、所有権の概念と種類から教えて頂けますか?

A1 はい、分かりました。
まず、所有権とは、自己の不動産または動産の法律に基づく、占有、使用、収益と処分の権利です。所有権者は自己の不動産または動産に対して、用益物権と担保物権を設定します。用益物権者、担保物権者が権利を行使する場合、所有権者の権益を損なってはなりません。所有権とは、自己の不動産または動産の法律に基づく、占有、使用、収益と処分の権利のことですよ。

3種類の所有権については第8回を見てね!中国の所有権は、所有権の主体を基準として、国家所有財産、集団所有財産、私人所有財産(国民個人所有財産と私営経済組織所有財産を含む)の三種類に分けられています。これについては、第8回「中国の財産制度と土地制度」の部分を参照ください。




Q2 区分所有建物について教えて頂けますか?

A2 区分所有建物とは、構造上区分され、独立して住居・店舗・事務所・倉庫等の用途に供することができる数個の部分から構成されているような建物のことです。区分所有建物とは、構造上区分され、独立して住居・店舗・事務所・倉庫等の用途に供することができる数個の部分から構成されているような建物のことです。
この場合、区分所有権者は建物内の住戸、事業に用いる住戸等の専有部分に対して所有権を有します。専有部分以外の共有部分については、共有若しくは共同管理の権利を有します。区分所有権者はその建物の占有部分について占有、使用、収益及び処分の権利を有します。区分所有権者は権利を行使する場合、建築物の安全を脅かしてはならず、その他の区分所有権者の合法的な権益を損なってはなりません。区分しようっと♪



Q3 なるほど。専有部分については良く分かりました。
  では、共有部分についてはどうでしょうか?

A3 はい。順次ご説明していきますね。区分所有権者会議についてもお話しておきます。共有部分についてご説明しますね。

(1)共有部分に対する区分所有権者の権利・義務
区分所有権者は建物の占有部分以外の共有部分について、権利を有し、義務を負います。権利の放棄を以って義務を不履行してはなりません。区分所有権者が建物内の住戸、事業に使用する住戸などを譲渡する場合、その共有部分について有する共有と共同管理の権利も併せて譲渡します。

(2)道路と駐車場・車庫の共有
建築区画内の道路は、区分所有権者の共有に属します。但し、都市部の公共道路に属する部分はこの限りではありません。建築区画内の緑地は、区分所有権者の共有に属します。但し、都市部の公共緑地又は個人に属すると明示する場合はこの限りではありません。建築区画内のその他公共の場所、公用施設と不動産のサービスに使用する家屋は、区分所有権者の共有に属します。

建築区画内において、自動車を駐車するのに用いる定置場、車庫は、先ず区分所有権者の需要を満足させなければなりません。建築区画内において、自動車を駐車するのに用いる定置場、車庫の計画の帰属は、当事者が販売、附帯又は賃貸などの方法で約定します。
区分所有権者の共有の道路若しくはその他の場所を占有し自動車を駐車するのに用いる定置場とする場合、区分所有者権者の共有に属します。

(3)区分所有権者会議
区分所有者会議でも開催しますか。区分所有権者は、区分所有権者会議を開催することができ、区分所有権者委員会の選挙を実施することができます。地方の人民政府の関連部門は、区分所有権者会議の開催と区分所有権者委員会の選挙について指導と協力をしなければなりません。



Q4 では、続いて相隣関係について教えてください。
  まず、相隣関係の処理はどのような原則に基づいており、何を根拠にしていますか?

A4 はい。以下の通りです。

1 相隣関係処理の原則――生産の利点、生活の利便、団結・協力、公平・合理
  不動産の相隣関係の各権利者は、生産の利点、生活の利便、団結・協力、公平・合理の原則に基づき、適切に相隣関係を処理しなければなりません。
2 相隣関係処理の根拠――法律・法規、習慣
  法律、法規に相隣関係の処理について規定のある場合、その規定に従います。法律、法規に規定のない場合は、当該地の習慣に従うことができます。そーりんっ



Q5 相隣関係者の義務について教えてください。

A5 以下の通りです。

(1)相隣関係者の用水、排水
不動産の権利者は、相隣関係の各権利者の用水、排水のために、必要な利便を提供しなければなりません。自然流水の利用に対しては、不動産の相隣関係の権利者間で合理的に分配しなければなりません。自然流水の排水は、自然の水流を尊重しなければなりません。相隣関係者の義務はこれらのものがあります。
(2)相隣関係者の通行
不動産の権利者は、相隣関係の各権利者の通行などによりその土地を利用しなければならない場合、必要な利便を提供しなければなりません。

(3)相隣関係者の土地・建築物の利用
不動産の権利者が建築物の建造、修繕及び電線、ケーブル、水道管、スチームとガス管のラインなどの敷設により、相隣関係の土地、建築物の利用が必要な場合、当該土地、建築物の権利者は必要な利便を提供しなければならない。

(4)相隣建築物の通気、採光、日照の妨害の禁止
建築物を建造する場合、国家の工事建設に関する基準に違反してはならず、相隣関係にある建築物の通気、採光、日照を妨害してはならない。

(5)有害物質排出の禁止
不動産の権利者は、法令に違反して固体廃棄物の投棄、大気汚染物の排出、水質汚染物、騒音、光、電磁波の輻射などの有害物質を出してはならない。

(6)不動産安全の脅威の禁止
不動産の権利者は、土地の掘削、建築物の建造、パイプラインの敷設及び設備の取付けなど、相隣関係にある不動産の安全を脅かしてはならない。相隣関係の義務は沢山あるのね~
(7)相隣関係者に対する損害の回避や損害を与えた場合の賠償
不動産の権利者が用水、排水、通行、パイプラインの敷設など相隣関係にある不動産の場合、可能な限り、相隣関係にある不動産の権利者に対して、損害を与えることを回避しなければならない。損害をもたらした場合は、賠償しなければならない。



Q6 では、続いて、共有について教えてください。
  共有とはどのような状態でどのような種類がありますか?

A6 共有とは、不動産または動産が2つ以上の組織、個人により所有することです。つまり、一つの所有権が複数の主体によって支配・利用されている状態のことです。共有には持分共有と共同共有があります。

(1)持分共有
持分共有とは、共有者は共有の不動産や動産に対して、その持分額に基づき所有権を有することです。持分共有者は共有の不動産や動産に基づき、共有する金額に対して、約定のない場合、または約定が不明確な場合、出資額に基づき確定する。出資額の確定をすることができない場合は、同額共有とみなします。

(2)共同共有
共同共有とは、共有者は共有の不動産や動産に対して共同で所有権を有することです。共有者が共有の不動産や動産に持分共有とするか共同共有とするかの約定がない場合、若しくは約定が不明確な場合、共有者が家族関係などを有するのを除き、持分共有とみなします。共有とは、不動産または動産が2つ以上の組織、個人により所有することです。持分共有と共同共有があります。



Q7 共有財産の管理については、どのように定められていますか?

A7 はい、順次説明しましょう。

(1)共有者の管理に関する権利・義務
共有者は約定に基づき共有の不動産や動産を管理します。約定のない場合若しくは約定が不明確な場合、全ての共有者は管理の権利と義務を有します。

(2)共有財産の重大な修繕の決定
共有の不動産や動産を処分する場合及び共有の不動産や動産について重大な修繕を行う場合、持分額の3分の2以上を占める共有者または全体の共同共有者の同意が必要です。但し、共有者間に別の約定がある場合は、この限りではありません。

(3)共有財産管理の費用負担
共有物の管理費用及びその他負担に対して、約定のある場合は約定に従いますが、約定のない場合、若しくは約定が不明確な場合、持分共有者はその持分に基づき負担し、共同共有者は共同で責任を負います。共有財産は一緒に管理しましょうね。



Q8 共有財産の分割については、どのように定められていますか?

A8 共有者が共有の不動産や動産の分割をしてはならないと約定し、共有関係を維持する場合、約定に従います。但し、共有者に重大な理由があり分割する場合、分割を請求することができます。約定がない場合、若しくは約定が不明確な場合、持分共有者は、適時分割を請求することができ、共同共有者は共有の基礎喪失または重大な理由で分割の必要があるときは、分割を請求することができます。分割により、その他共有者に損失をもたらした場合は、賠償をしなければなりません。共有者は協議により分割方法を確定することができるんですよっ!
共有者は協議により分割方法を確定することができます。合意に達しない場合、共有の不動産や動産は分割でき、且つ分割により価値を損なうことが無い場合は、実物に対して分割しなければなりません。分割するのが困難な場合、分割により価値が下がる場合、割引または転売で取得した金額を分割しなければなりません。共有者の所得である不動産や動産を分割し、瑕疵が生じた場合、その他共有者は損失を分担しなければなりません。



Q9 共有者に優先的に購入する権利はありますか?

A9 持分共有者は、その有する共有の不動産や動産の金額を譲渡することができます。
その他共有者は同等の条件下で、優先的に購入する権利を有します。相手の持分を優先的に購入することができました。



Q10 共有者は、連帯責任を負いますか?

A10 共有の不動産や動産により生じた債権債務の場合、対外関係上、共有者は連帯債権を有し、連帯債務を負います。但し、法律に別段の定めがある場合、若しくは、共有者は連帯債権債務の関係がないと第三者が認める場合は、この限りではありません。

共有者の内部関係において、共有者に別に約定していることを除き、持分共有者は持分額に基づき債権を有し、債務を負い、共同共有者は、債権を有し、債務を負います。債務の返済が自身の負うべき金額を超過した持分共有者は、その他共有者に賠償請求の権利を有します。
共有者は連帯債権を有し、連帯債務を負います。



Q11 所有権を取得する特別規定はありますか?

A11 以下の規定があります。

1 処分権のない者の財産譲渡
処分権のない者が不動産や動産を譲受人に譲渡した場合、所有権者は取り戻す権利を有します。他の法律で規定している場合を除き、次の要件を満たした場合、譲受人は不動産又は動産の所有権を取得します。

① 譲受人が当該不動産又は動産を譲り受けた時、善意の取得であった場合、
② 合理的な価格での譲渡の場合、
③ 法律に基づき登録しなければならないと規定する譲渡不動産または動産を既に登録している場合、
④ 登録の必要のないものを既に譲受人に引き渡している場合。
譲受人が前項に規定する不動産や動産の所有権を取得した場合、元の所有権者は処分権のない者へ損害賠償を請求することができます。当事者がその他物権を善意で取得した場合、以上の規定を参照する。

2 遺失物の返還
所有権者又はその他権利者は遺失物を取り戻す権利を有します。当該遺失物を他人に譲渡され占有された場合、権利者は、処分権のない者へ損害賠償を請求する、若しくは譲受人を知った日、又は譲受人を当然知っているべき日から2年以内に譲受人に現物の返還を請求するものとします。

ただし、譲受人が当該遺失物を競売にかけた場合、若しくは経営資格のある経営者へ販売した場合、権利者が現物を返還するよう請求する際、譲受人が支払った費用を支払わなければなりません。権利者は譲受人へすべての費用を支払った後、処分権のない者へ補償請求することができます。

所有権を取得する特別規定はあるの~?遺失物を取得した場合、権利者へ返還しなければなりません。拾得者は速やかに権利者へ受け取りを通知しなければならず、若しくは公安などの関連部門へ届け出なければなりません。
漂流物を拾得した場合や埋蔵物や隠匿物を発見した場合、遺失物拾得に関連する規定を参照してください。文化財保護法などの法律に別の規定のある場合は、その規定に従います。

3 善意譲受人の保護
善意の譲受人が動産を取得後、当該動産に元からある権利は消滅します。ただし、善意の譲受人が譲り受けた時に当該権利を知っていた又は当然知っているべき場合はこの限りではありません。